学び方を学ぶ
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コース概要
「一生懸命勉強したのに、いざ使おうとすると何も出てこない」——多くの学習者が経験するこのつまずきは、意志の弱さや才能の欠如ではなく、学び方そのものに原因があります。本コースは、認知科学が明らかにしてきた「記憶に残る学び方」の原理を、学んでいるその瞬間に頭の中で何が起きているかという視点から体系的に学びます。読み返してすらすら読めることは覚えている証拠にはならないこと、記憶は入れた回数ではなく取り出した回数で決まること、少しの引っかかりが定着を作ること——こうした認知科学の知見を、想起練習・分散学習・精緻化・意図的練習という具体的な技術に落とし込み、今日から使える形で提示します。
学習の流れ
レッスン1で、「勉強したのに使えない」というつまずきの正体と、本コースを貫く6つのメッセージを提示します。レッスン2〜3は本コースの核となる部分で、記憶を「出す」ことで残す想起練習と、間を空けて混ぜる分散学習・インターリービングを、もっとも厚く扱います。レッスン4では、わかったつもりを自分で崩す精緻化と自己説明を学びます。レッスン5〜6は具体的な行動への落とし込みで、本や資料から知識を取り出す読む技術と、書く・話すことで理解を作るアウトプットの技術を扱います。レッスン7では、できるようになるまでの熟達のプロセスを、意図的練習という考え方から学びます。レッスン8では、学びをほどくアンラーニングと、コース全体を総括する自己調整学習のサイクルで締めくくります。前半(レッスン1〜4)は「記憶と理解の原理」、後半(レッスン5〜8)は「原理を行動に落とし込む実践」という二段構えです。
このコースで学べること
- ✓ 記憶は「入れた回数」ではなく「取り出した回数」で決まるという想起練習の原理を説明できる
- ✓ 検索練習・テスト効果・生成効果を理解し、自分で解く形の自己テストを作れる
- ✓ 分散学習とインターリービングを使い、学習のスケジュールと教材の並べ方を設計できる
- ✓ 精緻化質問と自己説明を使い、「わかったつもり」を自分で見つけられる
- ✓ 目的を決めて読む技術と、読んだ内容を思い出して変換する読書法を実践できる
- ✓ ファインマン・テクニックやティーチバックを使い、書く・話すアウトプットで理解を検証できる
- ✓ 意図的練習とフィードバックループの設計を理解し、うまくいかない練習を続ける力を身につける
- ✓ アンラーニングと自己調整学習のサイクルを使い、学びを次の学習や実務へつなげられる
対象者
業種・職種を問わず、仕事のために学び続ける必要があるすべての方。資格の勉強や新しい技術の習得に取り組んでいる方、研修を受けても身につかないと感じている方、本を読んでも内容を覚えていられない方、部下や後輩の学習を支援する立場の方も対象とする入門コース
講師紹介
桑野 千尋(くわの ちひろ)
学習設計コンサルタント/元 教育出版社 教材開発/元 企業内大学 運営責任者
大学院で認知心理学を専攻し、記憶と学習の実験研究で修士課程を修了。教育出版社で教材開発を7年間担当し、学習者の解答データを分析しながら、問題の並べ方や復習の挟み方を設計する仕事に携わる。その後、東証プライム上場サービス業の企業内大学で運営責任者を6年間務め、研修を受けた後の定着度を測る仕組みを構築し、社員8,000名の学習を支援した。2025年に独立し、学習設計コンサルタントとして企業の研修設計や個人の学び方の相談に携わっている
受講される方へのメッセージ
「「一生懸命やったのに身につかなかった」——そう感じたことがあるなら、それはあなたの努力が足りないからではありません。多くの場合、原因は学び方そのものにあります。私は教材開発と企業内大学の運営を通じて、何千人もの学習者の記録を見てきました。そこでわかったのは、記憶に残る人と残らない人の違いは、才能ではなく方法だということです。本コースでは、認知科学が明らかにしてきた「記憶に残る学び方」の原理を、できるだけ実践しやすい形でお伝えします。一緒に、学び方そのものを学び直していきましょう」
レッスン一覧
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1
なぜ「勉強したのに使えない」のか
「勉強したのに使えない」というつまずきの正体を、学習方略という視点から捉え直す。流暢性の錯覚、学習スタイル神話とラーニングピラミッドの誤りを解き、本コースを貫く6つのメッセージを提示する
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2
記憶は「出す」で残る——想起練習
記憶は入れた回数ではなく取り出した回数で残るという想起練習の原理を学ぶ。検索練習・テスト効果・生成効果、白紙復元法や自己テストの作り方、間違えることの意味を扱う
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3
間を空ける、混ぜる——分散学習とインターリービング
間を空けて学ぶ分散学習と、複数のテーマを混ぜて練習するインターリービングを学ぶ。望ましい困難という考え方や、練習中の手応えと本番の成績が食い違う現象を扱う
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4
わかったつもりを壊す——精緻化と自己説明
精緻化質問と自己説明で「わかったつもり」を自分で見つける方法を学ぶ。既有知識と結びつける方法、具体例を自分で作る練習、言葉と図の両方で覚える二重符号化を扱う
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5
読む技術——本と資料からの取り出し方
目的を決めて読む技術、問いを立ててから読む考え方、目次や索引の使い方、精読と多読の使い分けを学ぶ。読んだ直後に本を閉じて思い出す練習と、読書メモの作り方を扱う
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6
書く・話す技術——アウトプットが理解を作る
書く・話すアウトプットが理解を作る仕組みを学ぶ。ファインマン・テクニック、ティーチバック、教えることで学ぶ効果、ノートを記録から変換に変える方法を扱う
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7
できるようになる——熟達と意図的練習
できるようになるまでの熟達のプロセスを学ぶ。意図的練習、フィードバックループの設計、成長マインドセット、自己効力感を支える4つの要素を扱う
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8
学びをほどく——アンラーニングと、次の一歩
学びをほどくアンラーニングと、自分の外に出て学ぶ越境学習を学ぶ。計画・モニタリング・評価からなる自己調整学習のサイクルでコース全体を総括し、次の学習の方向を示す
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総復習テスト
全レッスンの内容を振り返るテスト
このコースの用語集(64語)
- アンラーニング(あんらーにんぐ)
- これまでのやり方の中で、状況の変化によって通用しなくなった部分を見極め、意図的に手放すこと。日本語では「学びほぐし」と呼ばれる。
- インターリービング(いんたーりーびんぐ)
- 複数のテーマや種類の異なる問題を、1つずつまとめて練習するのではなく、混ぜ合わせながら練習する学習法。日本語では「交互配置」と訳される。
- 一夜漬け
- 試験前夜など短期間に同じ内容を詰め込んで学ぶ集中学習の代表例。直後のテストには一定の効果があるが、記憶は数日から数週間で急速に失われやすい。
- 意図的練習
- 明確な目標・即座のフィードバック・今の実力よりわずかに高い難易度・集中という4つの条件を満たす練習。アンダース・エリクソンが提唱した熟達の中核概念。
- 1万時間の法則
- アンダース・エリクソンの意図的練習の研究をジャーナリストが通俗化した主張。アンダース・エリクソン自身は時間の長さより練習の質が決定的だとして、この通俗化に異を唱えている。
- 越境学習
- 自分がふだん所属する組織やコミュニティの外に出て、異なる価値観や方法論に触れることで学ぶという考え方。アンラーニングのきっかけになる。