コーチング実践
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コース概要
「良い質問さえ探せばコーチングができる」——多くの方がコーチングをそう捉えていますが、本コースはその手前にある問いから出発します。関係ができていない相手に良い質問をしても、防御が返ってくるだけです。本コースは、コーチングを「答えを持たない側の技術」として定義し、答えを教えないことの倫理的な意味、ティーチング・メンタリング・カウンセリング・ファシリテーションとの境界を整理したうえで、ICF コンピテンシー、ラポールというつながりの土台、GROW 以外の対話の型、指示する側と引き出す側の姿勢の幅、セルフコーチングとピアコーチング、チームコーチング、エグゼクティブコーチングとコーチングの限界までを、8 レッスンで扱います。傾聴・質問・GROW の基礎はすでに学んでいることを前提とし、本コースはその先の領域に集中します。
学習の流れ
レッスン 1 で、コーチングという関わり方の輪郭と、本コースを貫く 6 つの中核メッセージを共有します。レッスン 2 は、ICF コンピテンシーという体系を使って自分の関わりを点検する視点を提供します。前半の山場であるレッスン 3 では、ラポールという信頼関係の技術的な基盤を厚く扱います。レッスン 4 は GROW 以外の対話の型を学び、場面で型を使い分ける力を養います。レッスン 5 では、指示する側と引き出す側という姿勢の幅の中で、自分がどこに立つかを選ぶ判断力を扱います。後半は対象を広げ、レッスン 6 でセルフコーチングとピアコーチング、レッスン 7 でチームコーチング、レッスン 8 でエグゼクティブコーチングとコーチングの限界を扱い、コースを締めくくります。技法を増やすことより先に、姿勢の幅を持つこと——これが本コース全体を貫く設計です。
このコースで学べること
- ✓ コーチングを「答えを持たない側の技術」として説明し、ティーチング・メンタリング・カウンセリング・ファシリテーションとの境界を判断できる
- ✓ ICF コンピテンシーの体系を使って、自分の関わり方を点検できる
- ✓ ラポールを技術として理解し、ペーシングとミラーリングを対話に取り入れられる
- ✓ GROW 以外の対話の型(解決志向のアプローチ、CLEAR、WOOP、ミラクルクエスチョンとスケーリングクエスチョン)を場面に応じて選べる
- ✓ ダイレクティブとノンディレクティブの間で、自分がどこに立つかを場面ごとに判断できる
- ✓ セルフコーチングとピアコーチングを、自分自身と同僚との対話に取り入れられる
- ✓ チームコーチングの基本構造を理解し、複数人を相手にした対話を設計できる
- ✓ エグゼクティブコーチングの構造とコーチングの限界を理解し、専門家に橋渡しする判断ができる
対象者
1on1 やメンバー育成の経験があり、対話の引き出しを増やしたい方、質問しているつもりが誘導になっていないかと感じている方、コーチングを体系として学び直したい方、社内にコーチング的な関わりを広げたい立場の方
講師紹介
宇佐美 慎(うさみ しん)
エグゼクティブコーチ/元 事業会社 人材開発部長
機械メーカーで営業を 6 年経験した後、人事に異動して人材開発を 11 年担当。管理職研修の設計と 1on1 制度の導入を推進したが、制度を入れた直後の現場から「面談が増えただけ」と言われた経験を持つ。コーチングの専門教育を受けて 2017 年に独立し 9 年、経営層・部長層へのコーチングを累計 600 セッション実施。独立から 2 年は「答えを言ってしまう」癖が抜けず、契約が更新されなかった時期がある。スタンスは「良い質問を探すより、口を閉じていられるかどうか」。
受講される方へのメッセージ
「コーチングと聞くと、多くの方が「良い質問集」を思い浮かべます。私自身も、独立した当初はそうでした。相手より先に答えを見つけて、それを質問の形に変えて渡す——親切のつもりでしたが、契約は更新されませんでした。振り返ると、私がしていたのは質問ではなく、質問の形をした指示でした。本コースは、良い質問の技法から一歩引いて、関係と場をどう設計するかを扱います。ラポールという技術的な土台、GROW 以外にどんな型があるか、指示する側と引き出す側のどこに立つかという姿勢の選択、自分自身や同僚に向けるコーチング、複数人を相手にするチームコーチング、そして経営層を相手にするときの構造と、コーチングが手を離すべき場面。私が現場で立ち止まった経験を交えながら、8 レッスンで届けます。」
レッスン一覧
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1
コーチングとは何か——4 つの関わり方の境界線
コーチングを「答えを持たない側の技術」として定義し、ティーチング・メンタリング・カウンセリング・ファシリテーションとの境界を整理する。「答えを教えない」ことの倫理的な含意、コーチングが向かない場面、本コースを貫く 6 つの中核メッセージを学ぶ
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2
ICF コンピテンシーで自分の関わりを点検する
国際コーチング連盟(ICF)が定めるコンピテンシーの体系を使い、自分の関わり方を点検する。基盤を体現する、信頼と安全を育む、存在感を示す、積極的に聴く、合意を交わす、成長を促すという 6 つの視点を扱う
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3
ラポール——信頼関係の技術的な基盤
ラポールを技術として学ぶ。ペーシングとミラーリングによる同調のつくり方、非言語の同調、オンラインでラポールが作りにくい理由を扱う
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4
GROW を超えて——場面で型を使い分ける
解決志向のアプローチ、OSKAR、CLEAR、WOOP、ミラクルクエスチョンとスケーリングクエスチョンを学び、GROW が向かない場面を見極めて型を使い分ける力を養う
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5
ダイレクティブとノンディレクティブ——姿勢の幅を選ぶ
指示する側と引き出す側という姿勢のスペクトラムを学び、場面に応じてどこに立つかを判断する。パワフルクエスチョンの考え方と、誘導になっていないかの自己点検、アドバイスをしてよい場面を扱う
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6
セルフコーチングとピアコーチング
自分自身に問いを向けるセルフコーチング、話すことで自分が気づくオートクラインという現象、書くセルフコーチングを学ぶ。同僚同士のピアコーチングの組み方と約束事、上下関係がないことの強みと弱みを扱う
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7
チームコーチング——複数を相手にする
1 対 1 との構造的な違いを整理し、場に問いを置く技術、全員が話す設計を学ぶ。ファシリテーションとの違い、チームの沈黙をどう読むかを扱う
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8
エグゼクティブコーチングと、コーチングの限界
経営層を相手にするときの構造、契約と守秘義務を学ぶ。コーチングの限界と専門家への橋渡し、コーチング資格の位置づけ、社内にコーチング文化を広げる考え方、修了後の学習方向を扱う
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✓
総復習テスト
全レッスンの内容を振り返るテスト
このコースの用語集(68語)
- インスー・キム・バーグ(いんすー・きむ・ばーぐ)
- アメリカの臨床家。スティーブ・ド・シェイザーとともに、問題の原因分析より解決した状態に焦点を当てる短期療法を確立したとされる。 → レッスン 4
- 内なる障害
- WOOP における「Obstacle」の段階で扱う概念。上司や環境など自分の外側にある障害ではなく、先延ばしにする癖や特定の場面での不安など、自分自身の内側にある障害を指す。 → レッスン 4
- エグゼクティブコーチング
- 経営層を相手にするコーチング。孤独・利害の複雑さ・守秘の重要性という、ほかの階層にはない構造的な特徴を持つ。 → レッスン 8
- オートクライン
- 自分が話した言葉を自分の耳で聞くことによって、話す前には気づいていなかったことに気づく現象。日本のコーチングの実務でよく使われる言葉で、セルフコーチングの効果を支える。 → レッスン 6
- 解決志向
- 問題の原因を掘り下げるより、うまくいっている部分や解決した状態に焦点を当てる発想。短期療法に由来するとされる。 → レッスン 4
- カウンセリング
- 過去の経験や心理的な困難に向き合い、心の状態を整える関わり方。専門資格に基づく実践が中心で、コーチングとは力点の置き方が異なる。 → レッスン 1