HRBP 実践
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コース概要
「事業部に異動してください」と言われた人事担当者の多くが、まず制度の説明資料を作り始めます。しかし、事業部が本当に欲しいのは制度の解説者ではなく、事業の課題を人の課題として見立て、翻訳できる相手です。本コースは、事業部門から人事部門への発信や、サーベイ結果の伝え返し、M&A における制度統合の手法にはあえて触れず、事業部に入り込む人事に固有の対人スキルに絞って 8 レッスンで扱います。事業理解、組織診断、経営課題の翻訳、権限なき影響力、変革への伴走、置き方の設計、続けるための境界線——制度を運ぶ人から、事業の言葉と人事の言葉を往復させる通訳へと視点を移すための実務を持ち帰っていただきます。
学習の流れ
レッスン1で、本コースが扱う範囲と扱わない範囲を明示し、Ulrich の 4 役割モデルを土台にした全体像を示します。前半(2〜3)は「事業を理解し、組織を診る」段階で、事業モデルと数字の読み方(L2)、組織診断の枠組みと症状・原因の切り分け(L3)を扱います。中盤(4〜5)は本コースの中核で、経営課題を人事の課題に翻訳する手順(L4)、権限がない中で事業責任者との関係を築く方法(L5)を学びます。後半(6〜8)は「動かし、置き、続ける」段階で、変革に伴走するチェンジエージェントの実務(L6)、HRBPの置き方の三層構造(L7)、引き受けすぎない境界線と次の学び(L8)を扱います。診断する、翻訳する、影響力を行使する、置き方を設計する——この一連の流れを、事業部に呼ばれる人事として実践できる状態を目指します。
このコースで学べること
- ✓ HRBP を「制度を運ぶ人」ではなく「事業の言葉と人事の言葉を往復させる通訳」として捉え直せる
- ✓ Ulrich の 4 役割モデルを理解し、日本企業での現れ方に照らして説明できる
- ✓ 事業モデルと P/L・KPI を読み、業績会議の議論を人の課題に接続できる
- ✓ 組織を構造・プロセス・文化・人という枠組みで診断し、症状と原因を切り分けられる
- ✓ 曖昧な経営課題を人事の課題に翻訳し、打ち手の選択肢と優先順位を示せる
- ✓ 権限がない中で事業責任者との信頼関係を築き、反対されたときに引く判断ができる
- ✓ 変革期にチェンジエージェントとして抵抗を見立て、キーパーソンを巻き込める
- ✓ HRBP の置き方を三層構造で設計し、引き受けすぎない境界線を持てる
対象者
人事部門から事業部門への関わりを増やしたい方、事業部付きの人事に着任した方、制度を作る側から使われる側へ視点を移したい方、事業責任者との対話に苦手意識がある方
講師紹介
里見 遥(さとみ はるか)
組織開発コンサルタント/元 事業会社 事業部人事
大学卒業後、総合電機メーカーの人事部に配属され、採用と労務を 7 年間担当した。人事としての基礎はここで固めたが、社内公募制度を使って事業部門付きの人事へ異動し、以降 10 年間、3 つの事業部を渡り歩いた。最初に配属された事業部では、着任から 1 年間、事業部長からも課長からもまともな相談が来なかった。前任の担当が「人事は制度の話しかしない」と見られており、着任したばかりの里見自身も同じ色眼鏡で見られていたためだった。この 1 年間、事業部の会議に出席し、数字を読み、現場を歩き回りながら、少しずつ声がかかる関係を作っていった。2 つ目、3 つ目の事業部では、この経験を踏まえて着任直後から事業理解に時間を割く動き方に変え、比較的早い段階で相談を受けられるようになったが、事業責任者との意見の対立や、提案が通らない場面は最後までなくならなかった。2024 年に独立し、現在は中堅企業の事業部人事の立ち上げを支援している。個別の評価制度・後継者の絞り込み・後継者計画の設計手順は、それぞれ人事評価制度関連の実践コースやタレントマネジメント関連の実践コースの領域であり、本コースは扱わない。
受講される方へのメッセージ
「事業部に異動してほしいと言われて、期待と不安の両方を抱えている方もいるはずです。私自身、最初の事業部で「人事は制度の話しかしない」と見られ、1 年間ほとんど相談が来なかった経験があります。あのとき欲しかったのは、制度の知識ではありませんでした。事業の言葉を理解し、症状の奥にある原因を見立て、権限がなくても信頼で動く方法でした。本コースは、その方法を 8 つのレッスンに整理したものです。華やかな成功談ではなく、迷いながら関係を築いていく過程として、実務の手順をお伝えします。」
レッスン一覧
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1
HRBP とは何か——Ulrich の 4 役割と本コースの守備範囲
本コースが扱う領域と扱わない領域の宣言、Ulrich の 4 役割モデル(戦略パートナー・チェンジエージェント・管理のプロ・従業員チャンピオン)、日本企業での実像、講師の現場メモ、中核メッセージ 6 個を学ぶ
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2
事業を理解する——人事が読むべき数字と構造
事業モデルの読み方、P/L と KPI を人の話につなぐ視点、業績会議で語られていること、事業側の語彙、人事の提案が通らない典型的な理由を学ぶ
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3
組織診断——症状から原因へ
組織を見る 4 つの枠組み(構造・プロセス・文化・人)、症状と原因の切り分け、データと観察の組み合わせ、ヒアリングの設計、見立てを言語化する方法、診断が外れる理由を学ぶ
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4
経営課題を人事の課題に翻訳する
曖昧な相談を分解する手順、打ち手の選択肢の並べ方、人事で解けない問題の見分け方、優先順位のつけ方を学ぶ
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5
権限なき影響力——事業責任者との関係
呼ばれる関係の作り方、提言と傾聴のバランス、反対されたときの引き方、事実で押し感情で押さない姿勢、講師の現場メモを学ぶ
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6
変革に伴走する——チェンジエージェントの実務
変革期に人事が担うもの、抵抗の見立てを心理の側から行う視点、キーパーソンの巻き込み方、移行期に壊れやすいものを学ぶ
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7
HRBP の置き方——三層構造と役割分担
本社人事・HRBP・共通業務機能の三層構造、事業部側で持つ範囲の線引き、エスカレーションの設計、兼務で回すときの現実、複数事業部を持つときの工夫を学ぶ
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8
続けるために——境界線と、次の一歩
引き受けすぎない設計、断る基準、成果の示し方、自分の学びの積み方、修了後の学習方向を学ぶ
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総復習テスト
全レッスンの内容を振り返るテスト
このコースの用語集(73語)
- 曖昧な相談の分解
- 「誰が」「いつ」「何を」という 3 つの軸で、事業部からの大きく曖昧な相談を、扱える大きさの課題に切り分ける作業。経営課題を人事の課題に翻訳する最初の手順。
- 移行期
- 変革が実行に移され、新しい体制がまだ定着しきっていない不安定な時期。日常の業務品質・チーム内の人間関係・組織への信頼感が壊れやすい。
- 打ち手
- 分解した課題に対する対応策の候補。規模の異なる複数の案を並べ、人事側の実施しやすさではなく事業部にとっての効果を起点に組み立てる。
- エスカレーション(えすかれーしょん)
- 自分の範囲を超える問題や、より上位の判断が必要な問題を、本社人事や専門家など適切な相手に引き継ぐこと。責任放棄ではなく重要な実務の 1 つ。
- 過去の失敗の記憶
- 変革への抵抗の背景にある心理の 1 つ。以前の変革が中途半端に終わった経験から「どうせまた同じことになる」という冷めた反応が生まれること。
- 観察
- 職場に足を運び、会議の様子や社員同士のやり取りに耳を傾けること。データだけでは見えない手がかりを得るための、組織診断の材料の 1 つ。