UX デザイン入門
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コース概要
「使いにくい」という感想は、社内で共有されても、次の一歩につながりにくいものです。誰かの感性への評価だと受け取られ、議論が止まってしまうからです。本コースは、この状況を変えるための実務技法を学ぶ 8 レッスンの入門コースです。UX と UI の違いという基礎から始め、ニールセンの 10 のユーザビリティ原則にもとづくヒューリスティック評価、参加者を観察するユーザビリティテスト、迷わない構造をつくる情報設計、画面を見せずに意図を伝える仕様の書き方、設計の前提としてのアクセシビリティ、画面の外側まで含めたサービスブループリントへと進みます。最後のレッスンでは、これらを単発の改善で終わらせず、組織で測り続ける仕組みへとつなげる視点を扱います。すべての図解は Mermaid によるテキストベースの構造図で示し、画像や色見本には頼りません。使いやすさを、感覚ではなく観察と基準によって扱えるようになることが、本コースのゴールです。
学習の流れ
レッスン1では、UX と UI の違い、使いやすさを分解する 5 つの見方、そして本コースが扱う範囲を明確にします。レッスン2から 3 では、専門家が構造的に評価するヒューリスティック評価と、利用者を観察するユーザビリティテストという、2 つの評価手法を学びます。レッスン4から 5 は本コースの中核にあたる設計技法で、迷わない構造をつくる情報設計と、画面を見せずに設計意図を伝える仕様の書き方を扱います。レッスン6では、設計の前提として位置づけられるアクセシビリティを、規格と法制度の両面から学びます。レッスン7では視点を広げ、画面の内側だけでなく裏側の業務まで含めて設計するサービスブループリントを扱います。最後のレッスン8では、ここまでの技法を単発で終わらせず、組織で継続的に運用するための考え方を学びます。前半(レッスン1〜3)は「測る」ための土台、中盤(レッスン4〜5)は「直す」ための設計技法、後半(レッスン6〜7)は「前提を広げる」視点、終盤(レッスン8)は「運用を続ける」仕組みという 4 段構えで、使いにくさを事実として扱う力を段階的に積み上げます。
このコースで学べること
- ✓ UI と UX の違いを説明し、使いやすさを学習しやすさ・効率・記憶しやすさ・エラー・満足度の 5 つの見方で分解できる
- ✓ ニールセンの 10 のユーザビリティ原則にもとづいてヒューリスティック評価を実施できる
- ✓ タスク設計から思考発話法まで、目的に応じたユーザビリティテストを設計・実施できる
- ✓ カードソーティングとラベリングを使い、迷わない情報構造を設計できる
- ✓ 画面を見せずに、目的・優先順位・状態・例外を言葉で伝える仕様の書き方を身につける
- ✓ WCAG の 4 原則にもとづいて、アクセシビリティ要件を判断できる
- ✓ サービスブループリントを使い、画面の外側の業務まで含めて設計できる
- ✓ 改善提案を「何が、どれだけ変わるか」で語り、組織で継続的に運用する視点を持てる
対象者
自社サイトやアプリ・社内システムの使いにくさを改善したい方。制作会社やデザイナーに依頼する側として要件を言葉にしたい方。「使いにくい」という感想を客観的な根拠に変えたい方。公共性の高いサイトでアクセシビリティ要件に向き合う必要がある方に役立つ
講師紹介
宇野 沙也香(うの さやか)
UX リサーチャー/元 Web 制作会社 情報設計担当
文系学部を卒業後、Web 制作会社にディレクターとして入社し、6 年間勤務する。自治体・大学・金融機関のサイトリニューアルを担当する中で情報設計を専門領域とし、公共性の高い案件でアクセシビリティ要件に向き合う機会を重ねる中で、規格とガイドラインの読み方を実務として身につける。その後、国内の生活サービス事業会社に転じて 7 年間勤務し、UX リサーチの社内立ち上げを担当する。年間 20 回以上のユーザビリティテストを運営しながら、デザイン部門と事業部門の橋渡し役を務める。2025 年に独立し、現在は事業会社・制作会社の双方に向けて、ユーザビリティ評価とアクセシビリティ対応の実務支援を行っている
受講される方へのメッセージ
「「使いにくい」という声は、社内でしばしば意見の対立を生みます。担当者の感性への評価に受け取られてしまうからです。しかし使いにくさは、観察と基準さえあれば、意見ではなく事実として特定できます。本コースでは、情報設計・ユーザビリティ評価・アクセシビリティ・サービスブループリントという 4 つの実務技法を通じて、「直す根拠をつくる」力を身につけていただきます。センスの話ではなく、手順の話として、最後までお付き合いください」
レッスン一覧
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1
UX とは何か——使いやすさを測れるものにする
UI と UX の違い、使いやすさを分解する 5 つの見方(学習しやすさ・効率・記憶しやすさ・エラー・満足度)、感想と観察の違い、本コースが扱う範囲と扱わない範囲、6 つの中核メッセージを学ぶ
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2
ユーザビリティの原則とヒューリスティック評価
ニールセンの 10 のユーザビリティ原則を実務例とともに解説し、複数人で独立に評価してから突き合わせるヒューリスティック評価の進め方、重大度の付け方、原則どうしが競合する場面、行動経済学のヒューリスティックとの違いを学ぶ
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3
ユーザビリティテストの設計と実施
タスク設計が結果を左右する理由、モデレート法と非モデレート法の違い、思考発話法、司会が誘導しないための言い回し、参加者の集め方、少人数の観察で重大な問題が見えやすい理由とその前提、記録と共有の方法を学ぶ
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4
情報設計(IA)——迷わない構造をつくる
情報のまとまりの作り方、利用者の言葉と社内の言葉のずれを埋めるラベリング、オープン・クローズド両方のカードソーティング、ナビゲーションの階層と幅、パンくずと現在地表示、検索とブラウズの併用を学ぶ
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5
設計意図を言葉で伝える——ワイヤーフレームと仕様の書き方
ワイヤーフレームの忠実度の段階、画面を見せずに目的・要素の優先順位・状態の変化・例外時の挙動を伝える書き方、実装者と揉めない仕様の粒度、レビューで論点をずらさない進行を学ぶ
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6
アクセシビリティ——設計の前提としての到達可能性
WCAG の 4 原則(知覚可能・操作可能・理解可能・堅牢)、達成基準と適合レベル、色だけに頼らない情報伝達、キーボード操作、代替テキスト、支援技術の存在、日本の規格と合理的配慮の法的な位置づけを学ぶ
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7
サービスデザインとブループリント——裏側まで含めて設計する
画面の外側で体験が壊れる理由、サービスブループリントの層(利用者の行動・目に見える接点・裏側の業務・支援する仕組み)、部門をまたぐ設計、既存業務の制約との折り合い方を学ぶ
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8
UX を組織で運用する——測り続ける仕組み
単発の改善で終わらせない運用設計、定量データと定性データの役割分担、「何が、どれだけ変わるか」で改善提案を通す書き方、デザイン部門と事業部門の距離、成熟度の段階、生成 AI をリサーチに使うときの線引き、修了後の学習方向を学ぶ
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✓
総復習テスト
全レッスンの内容を振り返るテスト
このコースの用語集(82語)
- アクセシビリティ
- 年齢や身体的な状態、利用する環境にかかわらず、できるだけ多くの人が情報やサービスに到達し、利用できる状態のこと。本コースでは、特別な配慮ではなく、設計の前提として扱う。
- 一貫性と標準
- ニールセンの 10 のユーザビリティ原則の 1 つ。同じ意味の操作には、同じ見た目と同じ言葉を一貫して使うという原則。
- エラー(えらー)
- 使いやすさを分解する 5 つの見方の 1 つ。利用者がどれだけ誤操作を起こしやすいか、そして誤操作からどれだけ簡単に立ち直れるかを指す。
- エラーの防止(えらーのぼうし)
- ニールセンの 10 のユーザビリティ原則の 1 つ。エラーメッセージを丁寧にすることよりも、そもそもエラーが起きない設計を優先するという原則。
- エラーの認識・診断・回復の支援(えらーのにんしき・しんだん・かいふくのしえん)
- ニールセンの 10 のユーザビリティ原則の 1 つ。エラーが起きたとき、原因と対処法を利用者にわかる言葉で伝えるという原則。
- オープンカードソーティング(おーぷんかーどそーてぃんぐ)
- あらかじめグループの名前を用意せず、参加者自身にカードを自由にグループ分けしてもらい、名前も付けてもらうカードソーティングの進め方。構造を新しく考える初期段階に向く。