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スキルアップカレッジ

給与計算 SaaS ・ネットバンキング/API バンキング

レッスン6:給与計算 SaaS ・ネットバンキング/API バンキング

このレッスンで学ぶこと

  • 給与計算 SaaS 4 社比較(マネーフォワード クラウド給与/freee 人事労務/SmartHR 給与 2023 年/KING OF TIME 給与 2022 年)と給与計算 4 大論点を扱う
  • ネットバンキング(法人インターネットバンキング/全銀 EDI)と FB データ 3 種を理解する
  • API バンキング(全銀 API 2023 年更新・GMO あおぞら BaaS /住信 SBI ネット銀行)を掴む
  • 消し込み自動化と電子債権記録機関(でんさいネット 2013 年)を扱う

前回のレッスンでは、AI-OCR ・請求書電子化・経費精算 SaaS 比較を扱いました。今回は、資金の流れを支える給与計算 SaaS とネットバンキング/API バンキングを扱います。

給与計算 SaaS 4 社比較

給与計算は経理業務の中で最も精度が求められる領域。主要 SaaS 4 社を比較:

1. マネーフォワード クラウド給与(マネーフォワード 2015 年)

  • 特色:MF 会計・経費とのシームレス連携
  • 対応:給与計算・賞与計算・年末調整・社会保険料算定
  • 電子申請:e-Gov /マイナポータル API 対応
  • 料金:月額 3,980 円〜(従業員 5 名まで)

2. freee 人事労務(freee 2018 年サービス開始)

  • 特色:freee 会計・銀行連携との統合
  • 対応:給与計算・年末調整・入社/退社手続・勤怠管理
  • 電子申請:e-Gov 対応
  • 料金:ミニマム 月額 2,200 円〜、ベーシック 月額 4,378 円〜

3. SmartHR 給与(2023/6 提供開始)

  • 提供元:SmartHR(2013 年設立)
  • 特色:SmartHR(労務手続 SaaS 国内シェア約 30 %)に給与計算機能を追加
  • 対応:SmartHR の従業員情報と連動、給与テーブル管理、賞与計算
  • 電子申請:e-Gov /マイナポータル API 対応
  • 料金:SmartHR プランに応じて追加課金

4. KING OF TIME 給与(ヒューマンテクノロジーズ 2022 年)

  • 提供元:ヒューマンテクノロジーズ(2004 年 KING OF TIME サービス開始)
  • 特色:勤怠管理と一体運用可能な給与計算オプション
  • 対応:勤怠データからの給与自動計算、時間外・休日・深夜割増の自動反映
  • 電子申請:e-Gov 対応
  • 料金:KING OF TIME 基本プラン+給与オプション

選定基準

  • MF 会計ユーザー:マネーフォワード クラウド給与(統合効果最大)
  • freee 会計ユーザー:freee 人事労務
  • SmartHR 労務手続ユーザー:SmartHR 給与
  • KING OF TIME 勤怠ユーザー:KING OF TIME 給与

給与計算 4 大論点

給与計算実務の 4 大論点を整理します:

1. 支給控除の自動化

  • 総支給額:基本給+役職手当+家族手当+住宅手当+通勤手当+残業手当+深夜割増+休日出勤手当
  • 控除額:社会保険料(健康保険・厚生年金・介護保険)+雇用保険料+所得税(源泉徴収)+住民税(特別徴収)+任意控除
  • 給与計算 SaaS は 4 大控除(健康保険・厚生年金・雇用保険・住民税)の自動更新を実装

2. 年末調整

雇用主が労働者の 1 月〜12 月の給与から源泉徴収した所得税と、年間所得税額との差額を精算する制度。12 月給与または 1 月給与で精算。

  • 控除申告書の電子回収:SmartHR /freee /MF は従業員から電子で申告書を回収
  • 控除計算の自動化:基礎控除・配偶者控除・扶養控除・社会保険料控除・生命保険料控除・住宅ローン控除等を自動計算
  • 源泉徴収票の電子交付:紙・PDF・マイナポータル電子交付の 3 パターン

3. 社会保険算定

社会保険料(健康保険・厚生年金・介護保険)は 標準報酬月額 をベースに計算。給与計算 SaaS が実装する 3 パターン自動更新:

  • 資格取得時決定:新規入社時、契約給与を基に算定
  • 定時決定(算定基礎届):毎年 4-6 月の報酬平均を基に、9 月〜翌年 8 月分決定
  • 随時改定(月変):3 か月連続で 2 等級以上変動時、翌月から改定

4. 住民税更新

住民税は前年 1-12 月の所得を基に、翌年 6 月〜5 月分を特別徴収。5 月に市町村から特別徴収税額決定通知書が届き、6 月給与から新税額適用。給与計算 SaaS は住民税マスタを毎年 5 月に一括更新する機能を実装。

ネットバンキング(法人インターネットバンキング)

法人インターネットバンキングは、企業の資金移動・支払業務のインフラ。主要銀行の法人ネットバンキング:

  • 三菱 UFJ 銀行 BizSTATION
  • 三井住友銀行 パソコンバンク Web21
  • みずほ銀行 e-ビジネスサイト
  • りそな銀行 ビジネスダイレクト
  • GMO あおぞらネット銀行 法人インターネットバンキング
  • 住信 SBI ネット銀行 法人口座
  • PayPay 銀行 ビジネスアカウント

主要機能

  • 振込・振替(総合振込・給与振込・預金口座振替)
  • 残高照会・入出金明細
  • 電子証明書認証(多要素認証)
  • 承認フロー(作成者・確認者・承認者の 3 権分立)

料金

  • 月額利用料:0-3,000 円(メガバンクは有料、ネット銀行は無料が多い)
  • 振込手数料:3 万円未満 165-330 円、3 万円以上 330-660 円(同行内・他行間で差)

全銀 EDI(電子データ交換)と FB データ

全銀 EDI(全国銀行データ通信システム)は、企業と銀行間のデータ通信インフラ。1973 年構築、40 年以上運用。FB データ(Firm Banking データ)は、企業から銀行へ振込等の依頼データ形式。

FB データ 3 種

  1. 総合振込 FB:複数取引先への振込を一括で銀行に依頼するデータ形式(振込先・金額・振込日を CSV/固定長で記述)
  2. 給与振込 FB:全従業員への給与振込を一括依頼するデータ形式
  3. 預金口座振替 FB:会社が取引先や顧客から口座振替で回収するデータ形式(家賃・光熱費・月会費など)

給与計算 SaaS /会計クラウドは FB データを自動生成し、法人ネットバンキングにアップロードして振込を実行するフローが実務標準。

全銀 EDI システム(2018 年更新)

2018 年に全銀 EDI が更新され、ZEDI(金融 EDI 情報) の付加が可能に。振込に「取引明細情報」を添付できるようになり、受取側の入金消し込みが自動化されました。

API バンキング

API バンキング は、企業のシステム(会計クラウド・ERP)から銀行の口座情報・入出金明細・振込等の機能を API 経由で直接呼び出す 仕組み。2018/4 改正銀行法で「電子決済等代行業」が制度化され、銀行 API 公開が義務化されました。

全銀 API 2023 年更新

全銀 API(全国銀行協会)は 2020 年に策定、2023/6 に更新 され、以下の機能が拡充されました:

  • 参照系 API(口座残高・入出金明細)
  • 更新系 API(振込・振替)
  • 認可コード方式(OAuth 2.0 準拠)
  • Level 1(オンラインバンキング API)/Level 2(銀行チャネル API)

主要 API バンキング事業者

  • GMO あおぞらネット銀行 BaaS:会計クラウド(freee /マネーフォワード)と直接連携、法人向け API バンキングのフロントランナー
  • 住信 SBI ネット銀行 NEOBANK API:会計クラウド・請求書 SaaS と連携、法人プリペイドカード(B/43 等)にも活用
  • 三菱 UFJ 銀行 API:法人向け入出金明細 API
  • 三井住友銀行 API:法人向け入出金明細 API
  • PayPay 銀行 API:中小企業向け

API バンキングの実装メリット

  • リアルタイム入出金明細取得:会計クラウドで最新明細が常に反映
  • 振込の完全自動化:会計仕訳→振込データ生成→API 実行→仕訳更新の一連フローを自動化
  • エラー処理の効率化:振込失敗時の自動リトライ・アラート

消し込み自動化

消し込み とは、売掛金の入金確認と会計上の債権消滅処理。経理業務の中でも作業工数が多い領域。

従来の消し込みフロー

  1. 銀行明細から入金を確認
  2. 未入金の売掛金一覧と突合
  3. 該当する売掛金を消し込み仕訳
  4. 差異のある入金(金額違い・振込人違い)は保留→顧客確認

消し込み自動化 SaaS

  • sweeep:AI で振込人名・金額を売掛金と自動突合、95 % 超の自動化率
  • マネーフォワード クラウド債権請求:MF 会計と連動、売掛金 → 入金明細突合自動化
  • freee 会計 消し込み機能:freee ユーザー向けに標準実装
  • ROBOT PAYMENT 請求管理ロボ:SaaS 型消し込み専業サービス

ZEDI 対応 の消し込み自動化:ZEDI(振込に取引明細情報を添付)に対応した振込は、消し込み SaaS が明細情報から売掛金を特定し、100 % 自動消し込みが可能。

でんさいネット(電子債権記録機関)

でんさいネット(全銀電子債権ネットワーク)は 2013/2/18 営業開始の電子債権記録機関。従来の手形取引の電子化を目的。

でんさいの特徴

  • 裏書譲渡・分割譲渡が可能(手形の代替)
  • 紛失・盗難リスクなし(電子データ)
  • 印紙税不要(電子契約と同じ)
  • 決済期日の柔軟性(30-180 日など)

実務利用

  • 建設業・製造業のサプライヤー支払:手形の代わりに使用
  • 中小企業の資金調達:でんさい割引(金融機関に売却して現金化)
  • 利用実績:登録企業 90 万社超(2025 年時点)

でんさいの普及は当初想定より緩やかで、手形取引の完全置換には至っていませんが、大企業のサプライヤー支払で普及。政府は 2026 年 12 月 約束手形廃止方針 を掲げ、でんさい・銀行振込・電子決済への移行を推進中。

講師の現場メモ

私が中堅企業の経理 DX で最もインパクトを感じたのが、API バンキングの導入 でした。

従来:

  • 月末に振込データ CSV を作成→法人ネットバンキングにログイン→CSV アップロード→承認者ログイン→承認→振込実行(約 2 時間の作業)

API バンキング後:

  • 会計クラウド上で振込データ確認→承認ワンクリック→バックグラウンドで振込実行(約 15 分)

さらに ZEDI 対応の消し込み SaaS を導入することで、月次消し込み作業も 8 時間→30 分に短縮。API バンキングと消し込み自動化は、経理 DX の中でも「体感効果」が最も大きい領域です。

まとめ

  • 給与計算 SaaS 4 社:マネーフォワード クラウド給与(MF 2015 年、MF 会計・経費とのシームレス連携)/freee 人事労務(freee 2018 年、freee 会計・銀行連携と統合)/SmartHR 給与(2023/6 提供開始、SmartHR 労務手続 国内シェア約 30 % と連携)/KING OF TIME 給与(ヒューマンテクノロジーズ 2022 年、勤怠管理と一体運用)
  • 給与計算 4 大論点:1 支給控除の自動化(総支給額・控除額・4 大控除の自動更新)/2 年末調整(控除申告書の電子回収・控除計算自動化・源泉徴収票電子交付)/3 社会保険算定(標準報酬月額 3 パターン 資格取得時・定時決定 算定基礎届・随時改定 月変)/4 住民税更新(5 月一括更新機能)
  • 法人インターネットバンキング:三菱 UFJ BizSTATION /三井住友 Web21 /みずほ e-ビジネスサイト/りそな ビジネスダイレクト/GMO あおぞらネット/住信 SBI /PayPay 銀行。主要機能:振込振替(総合振込・給与振込・預金口座振替)/残高照会・入出金明細/電子証明書認証/承認フロー 3 権分立
  • 全銀 EDI 1973 年構築、40 年以上運用。FB データ 3 種:総合振込 FB(複数取引先一括振込)/給与振込 FB(全従業員給与)/預金口座振替 FB(家賃・光熱費・月会費回収)。給与計算 SaaS /会計クラウドが FB データ自動生成→法人ネットバンキングアップロード→振込実行
  • ZEDI 2018 年更新で「金融 EDI 情報」の付加可能に、振込に「取引明細情報」添付、受取側の入金消し込み自動化
  • API バンキング:2018/4 改正銀行法で電子決済等代行業制度化、銀行 API 公開義務化。全銀 API 2020 年策定・2023/6 更新(参照系・更新系・OAuth 2.0・Level 1 /Level 2)
  • 主要 API バンキング事業者:GMO あおぞらネット銀行 BaaS(会計クラウド 直接連携・フロントランナー)/住信 SBI ネット銀行 NEOBANK API(法人プリペイドカード B/43 活用)/三菱 UFJ 銀行 API /三井住友銀行 API /PayPay 銀行 API
  • 消し込み自動化 SaaS:sweeep(AI で振込人名・金額を売掛金と自動突合、95 % 超自動化)/マネーフォワード クラウド債権請求/freee 会計 消し込み機能/ROBOT PAYMENT 請求管理ロボ。ZEDI 対応で明細情報から売掛金特定・100 % 自動消し込み可
  • でんさいネット(全銀電子債権ネットワーク)2013/2/18 営業開始、電子債権記録機関。裏書譲渡・分割譲渡可(手形代替)/紛失盗難リスクなし/印紙税不要/決済期日柔軟。登録企業 90 万社超(2025 年)。政府 2026 年 12 月 約束手形廃止方針ででんさい・銀行振込・電子決済移行推進

次のレッスンでは、RPA ・シェアードサービス・DX 組織論を扱います。


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