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スキルアップカレッジ

プロジェクトリーダー実践

マネジメント・組織開発 中級 全8レッスン 約200分

公開日: 最終更新日:

コース概要

プロジェクトリーダーには、成果への重い責任がある一方で、メンバーへの人事権はほとんどありません。本コースは、この「権限なきリーダーシップ」を欠陥ではなく常態として受け止め、そのうえでどう成果を出すかを8レッスンで体系的に学びます。マトリクス組織の構造の読み方、プロジェクト憲章による権限の設計、権限に頼らない影響力の技術、複数部門からのリソース獲得交渉、評価権のないメンバーの動機づけ、PMOとの連携、そしてプロジェクトの終結マネジメントとキャリアまでを扱います。ライン管理職としての経験がなくても、数名規模のチームで中心的な役割を担った経験があれば取り組める内容です。

学習の流れ

レッスン1から2では、プロジェクトリーダーという職種の全体像と、その土台であるマトリクス組織の構造を扱います。レッスン3から4は「権限をどう設計し、どう補うか」がテーマで、プロジェクト憲章による明文化と、通貨交換モデルによる権限なき影響力を学びます。レッスン5から6は「人をどう獲得し、どう動機づけるか」がテーマで、複数部門との交渉と、評価権のないメンバーへの動機づけを扱います。レッスン7では、プロジェクトを横断的に支援するPMOとの連携とエスカレーションの設計を学び、最終レッスンとなるレッスン8では、プロジェクトの終結マネジメントと、プロジェクトリーダー自身のキャリアの方向性を扱います。全体を通じて、「権限がないのは常態である」という前提から出発し、設計・影響力・交渉・動機づけ・連携・終結という6つの技術を段階的に積み上げる構成になっています。

このコースで学べること

  • ✓ プロジェクトが有期性・独自性を持つ点で定常業務と異なることを理解し、権限なきリーダーシップが構造的な常態である理由を説明できる
  • ✓ マトリクス組織の構造と3つの強度を診断し、自分のプロジェクトがどの強度に置かれているかを把握できる
  • ✓ プロジェクト憲章とRACIを用いて、責任と権限のギャップを設計的に埋められる
  • ✓ 通貨交換モデルに基づき、権限に頼らずメンバーの協力を引き出す依頼ができる
  • ✓ 複数のラインマネジャーと交渉し、必要なリソースを段階的に獲得できる
  • ✓ 評価権を持たないメンバーを、内発的動機と原隊への還元によって動機づけられる
  • ✓ PMOとの連携とエスカレーション設計によって、問題を早期に解決へ導ける
  • ✓ プロジェクトを丁寧に終結させ、メンバーの次のアサインや自身のキャリアへとつなげられる

対象者

部門横断プロジェクトのリーダーに任命された方、兼務でプロジェクトリーダーを務める中堅社員、PMOメンバー、マトリクス組織で直属部下を持たずに成果責任を負う立場の方、将来ライン管理職を目指す前段としてプロジェクトを任された方

講師紹介

朝比奈 沙織(あさひな さおり)

プロジェクト推進支援コンサルタント/元 大手総合電機メーカー 全社PMO室マネジャー

新卒で大手総合電機メーカーに入社し、生産技術部門で5年勤務。全社基幹システム刷新プロジェクトにメンバーとして参加した経験をきっかけに、事業横断プロジェクトのプロジェクトリーダーを6年務める。最大8部門・40名規模のプロジェクトを、直属の部下を1人も持たないまま率いた経験を持つ。その後、全社PMO室のマネジャーを5年務め、同時進行する約30案件のプロジェクトポートフォリオを横断的に管理。2023年に独立し、プロジェクト推進支援コンサルタントとして、部門横断プロジェクトの立ち上げ支援やプロジェクトリーダーの育成に携わる。スタンス:「プロジェクトリーダーに権限がないのは欠陥ではなく常態である」「権限は与えられるのを待つものではなく、憲章によって設計するものである」「人は貸し借りで動く——相手にとっての通貨を見極めることが交渉の出発点になる」「評価権がなくても、原隊への還元によってメンバーを動機づけることはできる」「PMOは監視者ではなく、報告の設計次第で最も心強い味方になる」「プロジェクトの終わらせ方こそが、リーダーとしての評価を決める」

受講される方へのメッセージ

「事業横断プロジェクトのリーダーを任されたとき、私は直属の部下を1人も持たないまま、8つの部門から借りた40名を率いることになりました。最初の数か月は、指示が届かない、優先度を下げられる、評価もできない相手にどう向き合えばよいのか分からず、戸惑いの連続でした。振り返れば、その戸惑いの多くは、権限があることを前提にした技術を、権限がない場所で使おうとしていたために起きたものでした。本コースは、権限がないことを嘆く段階から抜け出し、権限がない前提でどう成果を出すかを設計する段階に進むための8レッスンです。マトリクス組織の構造の読み方、憲章による権限の設計、権限なき影響力、複数部門からのリソース獲得、評価権のないメンバーの動機づけ、PMOとの連携、そしてプロジェクトの終わらせ方まで、私自身がPLとして、そしてPMOの立場から見てきた現場の実感を込めて設計しました。皆さんが、次にどの部門から人を借りても、次にどんな時限組織を任されても、迷わず動き出せる土台を持ち帰っていただければ幸いです。」

レッスン一覧

  1. 1

    プロジェクトリーダーという職種——ラインの縦軸と横軸

    プロジェクトの2要件(有期性・独自性)と定常業務との違い、PL・PM・PMO・スポンサー・ステアリングコミッティの役割定義、権限なきリーダーシップが常態である構造的理由、3つの権限源、PLが抱える5つの典型的な悩み、中核メッセージ6個の提示を学ぶ

  2. 2

    マトリクス組織の構造を読む

    機能軸×プロジェクト軸のダブルレポーティング、ガルブレイスのスター・モデル、マトリクスの3強度とPLの権限差、実線・破線の指揮系統、「二人のボス」問題、自社のマトリクス強度を診断する5質問、組織形態別の立ち回りの型を学ぶ

  3. 3

    責任と権限のギャップを設計で埋める

    責任と権限のギャップの構造、プロジェクト憲章による権限移譲の明文化と8要素、スポンサーから引き出すべき5つの権限、RACIのタスク・成果物レベル設計、決裁権限の事前確認、「言質を文書に残す」作法を学ぶ

  4. 4

    権限なき影響力——借りてきた人を動かす

    コーエンとブラッドフォードのInfluence Without Authorityと通貨交換モデル、5つの通貨カテゴリ、相手のカレンシーを読む4観点、互恵の設計、断られたときの3手、依頼を「お願い」から「取引」に変える言い換えを学ぶ

  5. 5

    リソース獲得——複数ラインマネジャーとの同時交渉

    人を借りる交渉の構造、アサイン率の設計と兼務の罠、交渉6ステップ、複数部門から同時に引く順序戦略、プロジェクト予算とライン予算の二重構造、リソース競合の扱い、「人が来ない」ときの代替4手を学ぶ

  6. 6

    借り物メンバーの動機づけと評価

    評価権のない相手への動機づけ、デシとライアンの自己決定理論の3欲求の応用、役割設計と成長機会の提示、原隊の上司へのフィードバック還元、プロジェクト報告書への貢献記載と表彰、温度差のあるメンバーへの3段階対処を学ぶ

  7. 7

    PMOとの連携とエスカレーション設計

    PMOの3機能類型(支援型・統制型・指令型)、PMOが求める報告とPLが欲しい支援のズレ、PMOを味方につける5手、ステアリングコミッティの設計、エスカレーションの3レベルと判断基準、悪い知らせを早く上げる仕組みを学ぶ

  8. 8

    プロジェクトの終結とPLのキャリア

    終結マネジメント5ステップ、Lessons Learnedの型と組織への還元、メンバーの次アサインへの接続、失敗プロジェクトの終わらせ方、PLのキャリア5方向、修了後の情報源を学ぶ

  9. ✓

    総復習テスト

    全レッスンの内容を振り返るテスト

このコースの用語集(82語)
アサイン率
メンバーがプロジェクトにどの程度の時間を割いて参加するかを示す指標。100%・50%・20%の3水準で設計し、タスクの重要度と専門性のバランスで決める。
アラン・R・コーエン
組織行動学者。デビッド・L・ブラッドフォードとともに1989年に『Influence Without Authority』を著し、2005年に第2版を出版した。組織内の協力を通貨の交換として捉える枠組みを体系化した。
インスピレーション通貨(いんすぴれーしょんつうか)
コーエンとブラッドフォードが示した5つの通貨カテゴリの1つ。大きな意義や目的への貢献、理念への共感を与える通貨。
受入確認
終結マネジメントの5つのステップの1つ。引き渡した成果物が、依頼された要件を満たしているかを、受け取る側に確認してもらう作業。
エスカレーション
自分の裁量では対応できない問題を、より上位の立場に相談・報告すること。本コースではレベル1(自己判断)・レベル2(PMOへの相談)・レベル3(スポンサーへの報告)の3段階で設計する。
エドワード・L・デシ
心理学者。リチャード・M・ライアンとともに1985年に自己決定理論を体系化し、内発的動機を支える3つの心理的欲求(自律性・有能感・関係性)を示した。