プロジェクトマネジメント基礎
公開日:
コース概要
「プロジェクトを任されたが、何から手をつければよいかわからない」「スケジュールを組んだつもりが、いつの間にか破綻している」——業種・職種を問わず、期限のある仕事を任されたときに誰もが直面する悩みです。本コースは、プロジェクトマネジメントを「人を動かす技術」ではなく「頭の中の段取りを、他人と共有できる図と表に変換する技術」として、8レッスンで体系的に学びます。スコープを固める発想から始まり、WBSで作業を分解し、見積の外れ方を想定し、依存関係を並べてガントチャートを作図し、リスクと課題を表で管理し、進捗を「率」ではなく出来高で捉え、最後にスクラムというもうひとつの進め方までを一本道でたどります。社内イベントの運営、新商品の立ち上げ、オフィス移転、業務改善プロジェクトなど、業種を問わず使える汎用的な題材で学ぶため、特定の業界知識やITの前提知識は不要です。
学習の流れ
レッスン1で、プロジェクトを制約の三角形(スコープ・QCD)で捉える発想と、本コースの守備範囲を共有します。レッスン2でスコープを固め、レッスン3でWBSによって作業を分解します。ここまでが「何をやるか」を決める前半です。レッスン4で見積の技術を学び、レッスン5で依存関係とクリティカルパスからガントチャートを作図します。ここが「いつやるか」を決める中盤です。レッスン6でリスクと課題を表で管理する技術を、レッスン7で進捗を出来高で捉えてコントロールする技術を学びます。ここが「計画どおりに進めるための備え」です。最後のレッスン8で、スクラムというもうひとつの進め方と、ウォーターフォールとの使い分け、ふりかえりの技法、修了後の学習方向を案内します。前半(レッスン1〜3)は「何をやるかを固める」、中盤(レッスン4〜5)は「いつやるかを組む」、後半(レッスン6〜8)は「計画どおりに走らせる備えと、もうひとつの選択肢」の三段構えです。
このコースで学べること
- ✓ プロジェクトを制約の三角形(スコープ・QCD)で捉え、定常業務との違いを説明できる
- ✓ 成果物ベースでスコープを固め、MoSCoWで優先度をつけられる
- ✓ WBSで作業を100%ルールに沿って分解し、ワークパッケージまで落とし込める
- ✓ 類推見積・パラメトリック見積・ボトムアップ見積・三点見積を使い分けられる
- ✓ 依存関係とクリティカルパスを踏まえてガントチャートを作図・判読できる
- ✓ リスクと課題を区別し、リスク登録簿と課題管理表を運用できる
- ✓ 進捗を「率」だけでなく出来高で捉え、遅れへの対応を4つの手から選べる
- ✓ スクラムの基本語彙を理解し、ウォーターフォールとの使い分けを判断できる
対象者
業種・職種を問わず、期限のある仕事を任されるすべての方。営業・企画・人事・経理・総務・広報・情報システム・製造・教育・公務など、部門横断の取り組みや社内イベント、システム導入、新商品の立ち上げに関わる方。新入社員から中堅・管理職まで全社員必修レベルで使える入門コース
講師紹介
但馬 直人(たじま なおと)
プロジェクト計画コンサルタント/業種横断PM研修講師/元プラントエンジニアリング会社工程管理
大学で機械工学を学んだ後、大手プラントエンジニアリング会社に入社し、工程管理部門で10年間を過ごす。数百億円規模の建設案件で、数千のアクティビティからなる工程表を引き、クリティカルパスの見極めと山積み山崩しの調整を日々の仕事とした。現場に足を運び、資材の搬入待ちや天候による遅延を工程表に反映し続けた10年間で、「計画は一度作って終わりではなく、毎週描き直すもの」という感覚を体に刻み込んだ。その後、上場IT企業のプロジェクトマネジメントオフィスに転じて6年間、ウォーターフォール型の大型開発とアジャイル型の小規模開発の両方を運用する立場を経験し、重工業とIT、2つの異なる現場でプロジェクトマネジメントの型を磨いた。2023年に独立し、プロジェクト計画コンサルタントとして、製造・建設・IT・行政など業種を横断してプロジェクトマネジメント研修を担当している。研修では「ツールの名前を覚えるより、図と表を自分の手で描けるようになること」を一貫して重視する。スタンス:「計画とは、頭の中の段取りを他人と共有できる形に変換する作業」「見積は当てるものではなく、外れ方を設計するもの」「進捗率は最も嘘をつきやすい数字」「計画どおりに進むプロジェクトは存在しない。あるのは、ズレに早く気づける計画だけ」
受講される方へのメッセージ
「「プロジェクトを任されたが、何から手をつければよいかわからない」「スケジュールを組んだつもりが、いつの間にか破綻している」「リーダーの頭の中にしか計画がなく、周りがついていけない」——研修先で繰り返し聞く声です。重工業のプラント建設現場では、工程表を引けない担当者は、そもそも現場に立てません。一方で、多くのオフィスワークでは、期限のある仕事を任されても、段取りを図や表に落とす技術を教わる機会がほとんどありません。私が本コースで伝えたいのは、プロジェクトマネジメントは特別な才能ではなく、スコープを固め、作業を分解し、見積の外れ方を想定し、依存関係を並べ、リスクを表にする——という、誰でも練習すれば身につく技術だということです。8つのレッスンを通して、社内イベントの運営でも、新商品の立ち上げでも、システム導入でも使える「図と表」の描き方を、一緒に積み上げていきましょう。計画どおりに進むプロジェクトはこの世に存在しません。けれども、ズレに早く気づける計画は、誰にでも作れます。」
レッスン一覧
-
1
プロジェクトとは何を管理することか
プロジェクトと定常業務の違い、制約の三角形(スコープ・QCD)、PMBOKガイド第7版が示す12の原則と8つのパフォーマンス領域、ウォーターフォールと適応型の地図、本コースの守備範囲を学ぶ
-
2
スコープを固める
成果物ベースのスコープ記述、受け入れ基準の書き方、MoSCoWによる優先度分類、スコープクリープが起きる仕組み、変更要求と変更管理プロセス、プロジェクト計画書に書く7項目を学ぶ
-
3
WBS——作業を分解する技術
成果物型と工程型の2つの分解軸、100%ルール、ワークパッケージと8/80ルール、WBS辞書、分解しすぎ・しなさすぎの判断基準、図での書き方を学ぶ
-
4
見積——「たぶん3日」から抜け出す
類推見積・パラメトリック見積・ボトムアップ見積の3手法、三点見積とPERTの式、プランニングポーカー、見積が外れる4つの心理、バッファの置き方、工数と期間の違いを学ぶ
-
5
スケジュール——クリティカルパスとガントチャート
依存関係4種とリード・ラグ、ネットワーク図と最早・最遅、クリティカルパスとフロート、ガントチャートの作図と読み方、短縮の2手法、山積みと山崩しを学ぶ
-
6
リスクと課題——起きる前と起きた後
リスクと課題の決定的な違い、リスク特定の観点、発生確率×影響度マトリクス、4つの対応戦略、リスク登録簿、課題管理表の運用を学ぶ
-
7
実行のコントロール——進捗を「率」で語らない
進捗率の罠、アーンドバリューの考え方を図解、ステータスレポートの5項目、週次定例のアジェンダ設計、遅れが出たときの4手、ベースラインと再計画の線引きを学ぶ
-
8
もうひとつの進め方と、次の一歩
スクラムの3ロール・5イベント・3成果物、スプリント関連の指標、カンバンとWIP制限、ウォーターフォールとの使い分け、KPTとYWTによるふりかえり、修了後の情報源を学ぶ
-
✓
総復習テスト
全レッスンの内容を振り返るテスト
このコースの用語集(88語)
- インクリメント
- スクラムにおける3つの成果物の1つ。あるスプリントの終わりまでに完成した、実際に使える状態の成果物。
- ウォーターフォール型(うぉーたーふぉーるがた)
- スコープを固める、計画を立てる、実行する、検証するという工程を順番に進める進め方。水が上から下へ流れる様子になぞらえた名前で、適応型と対をなす。
- 受け入れ基準
- ある成果物が「完成した」「合格した」と判断するための、検証可能な具体的条件。形式・内容・承認プロセス・期限の4つの観点で書く。
- 回避
- リスクへの4つの対応戦略の1つ。リスクの原因そのものをなくす対応。
- 課題(かだい、イシュー)
- すでに実際に発生してしまい、対応が必要な問題。まだ起きていない不確実な出来事であるリスクと対比される。
- 課題管理表
- 課題を、起票・担当・期限・クローズの4段階で追跡するための表。