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スキルアップカレッジ

事業承継・後継者向け

経営者・起業家 中級 全8レッスン 約200分

公開日:

コース概要

事業承継は、経営権と自社株という 2 つの別物を、同時に渡す作業です。しかも承継には、ほかのマネジメント教材が前提としない特有の構造があります。先代は異動も退職もせず、会長や相談役として、あるいは親として残り続けます。後継者には逃げ場も評価者もなく、率いる社員は自分が採用していない「先代の社員」です。本コースは、地方銀行で事業承継支援に携わり、自身も 2 代目として実家の製造業を承継した講師が、渡された側として実際に経験した論点を 8 レッスンに整理しました。先代との関係、社員との関係、変革の順序、自社株の評価と分散、事業承継税制と遺留分の特例、経営者保証の引き継ぎ、そして継げないときの選択肢までを扱います。

学習の流れ

レッスン 1 で、本コースが扱う「後継者」が人事制度上の後継者育成とは別概念であることを明示し、承継の 4 つの道と「経営を渡す」「株式を渡す」という 2 本の軸を整理します。レッスン 2・3 では、承継特有の人間関係を扱います。退任しない先代とどう権限移譲を進めるか、自分が採用していない古参幹部とどう向き合うかです。レッスン 4 では、承継後の変革をどの順序で進めるべきかという実務を扱います。レッスン 5・6 は自社株の承継に絞り、評価の考え方、株式の分散、事業承継税制、遺留分の民法特例、種類株式という選択肢までを学びます。レッスン 7 では、先代の経営者保証がどうなるか、金融機関との対話を扱います。レッスン 8 では、親族内承継が難しい場合の従業員承継・第三者承継・廃業という選択肢と、支援インフラを扱い、承継という長い道のりを終えます。本コースは、経営の一般論や中小企業経営の基礎知識を扱う教材ではなく、「すでに継ぐことが決まっている、または継ぐことを検討している人」が、承継特有の論点に絞って実務を身につけるための構成です。

このコースで学べること

  • ✓ 事業承継が『経営を渡す作業』と『株式を渡す作業』という 2 つの別物からなることを理解し、両者を分けて計画できる
  • ✓ 先代が会長・相談役として残るという承継特有の構造を理解し、権限移譲のスケジュールを設計できる
  • ✓ 古参幹部や『先代の社員』との向き合い方、承継を社内外に伝える順序を判断できる
  • ✓ 変える順番の原則(お金の流れ→情報の流れ→人事の順に重くなる)を理解し、変えてはいけないものを見分けられる
  • ✓ 非上場株式の評価の考え方と、株式が分散する典型パターンを理解し、株主名簿を整備する重要性がわかる
  • ✓ 法人版事業承継税制の枠組みと期限、遺留分の民法特例、種類株式という選択肢の存在を理解できる
  • ✓ 先代の経営者保証がどうなるか、二重徴求を避ける考え方、承継を金融機関にいつ伝えるかを判断できる
  • ✓ 親族内承継以外の道(従業員承継・第三者承継・廃業)と、それぞれの支援インフラを理解できる

対象者

家業を継いだ、または継ぐ予定の 2 代目・3 代目、親族外から後継者に指名された役員・幹部社員、これから承継を進める現経営者、承継を控えた企業の経理・総務の責任者、中小企業の承継を支援する士業・金融機関・支援機関の担当者

講師紹介

仁科 邦彦(にしな くにひこ)

事業承継コンサルタント/元 地方銀行 法人融資/元 中小製造業 2 代目経営者

地方銀行で法人融資を 10 年担当(事業承継支援室を含む)。その後、実家の製造業(従業員 60 名)を 2 代目として承継し、8 年間経営した。先代は会長として 5 年在任し、古参幹部との衝突、自社株の分散整理、経営者保証の解除を実際に経験している。3 代目へ引き継いで退任し、2023 年に独立。以来、承継の伴走支援と金融機関向け研修を行っている。スタンス:「承継は経営と株式という 2 つの別物を渡す作業である」「先代は去らない、それを前提に設計する」「社員はまだ先代の社員であるという現実から目をそらさない」「変える順番を間違えると、正しい変革でも失敗する」「自社株は思っているより高く、思っているより分散している」「継げないことは失敗ではなく、選択肢のひとつである」

受講される方へのメッセージ

「私は地方銀行で法人融資と事業承継支援を 10 年担当したあと、実家の製造業を 2 代目として承継しました。会長として残った父との関係、私が採用していない古参幹部との衝突、名義だけの株主が何人もいた自社株の整理、そして金融機関に個人保証をどう引き継ぐか——教科書には出てこない現実を、8 年間の経営の中で一つずつ経験しました。世の中には新任管理職向けの教材が数多くありますが、それらはほとんど「前任者は異動・退職済み」という前提で書かれています。承継はそうではありません。先代は経営から退いても、会長や相談役として、あるいは親として、そこに居続けます。退路もなく、評価者もいません。本コースは、渡された側として実際にこの道を歩いた人間として、承継の実務を 8 レッスンに整理しました。継ぐという経験は孤独ですが、判断軸は学べます。本コースが、皆さんの最初の数年を支える助けになれば幸いです。」

レッスン一覧

  1. 1

    承継の全体像——4 つの道と、このコースの「後継者」の意味

    人事制度上の後継者育成とは別概念だと明示的に線引きする、承継の 4 類型(親族内・従業員・第三者・廃業)、後継者不在率の最新データ、『経営を渡す』と『株式を渡す』は別の作業という本コースの背骨、承継に何年かかるか、姉妹コースとの棲み分け、中核メッセージ 6 個を学ぶ

  2. 2

    先代との関係——退任しない先代、会長・相談役、そして親子

    前任者が去らないという承継特有の構造、会長・相談役・名誉職という肩書の意味、権限移譲のスケジュールを文書化する重要性、決裁権・取引先紹介・銀行対応・人事権を渡す順序、親子という二重関係と家族会議、渡す側の 3 つの心理を学ぶ

  3. 3

    社員との関係——古参幹部と「先代ならこうした」

    自分が採用していない社員を率いるという前提、古参幹部の 3 タイプと向き合い方、『先代ならこうした』への応答、自分の側近を早く作ることの危険、退路がない・評価者がいないという後継者固有の重さ、親族社員の扱い、承継を社内外に伝える順序を学ぶ

  4. 4

    変えるべきもの・残すべきもの——理念承継と変革の順序

    何から変えるかの原則(お金の流れ→情報の流れ→人事の順に重くなる)、変えてはいけないものの見分け方、老舗の『不易流行』という考え方、90 日ではなく 3 年で考える理由、先代のやり方を否定せずに変える言い方、変革が空回りする典型パターン 5 つを学ぶ

  5. 5

    株式承継①——自社株はいくらで、誰が持っているか

    非上場株式に値段がつく仕組み、評価の 3 つの考え方(類似業種比準方式・純資産価額方式・配当還元方式が『ある』ことと使い分けの発想)、業績が良い会社ほど承継が難しくなる逆説、株式が分散している状態、議決権の 3 分の 2 と 2 分の 1 が意味すること、まず作るべき株主名簿を学ぶ

  6. 6

    株式承継②——事業承継税制・遺留分・種類株式

    法人版事業承継税制(特例措置)の仕組み、特例承継計画の提出期限と贈与・相続の適用期限、猶予であって免除ではないという注意、取消事由、経営承継円滑化法の遺留分に関する民法特例(除外合意・固定合意)、議決権制限株式・拒否権付株式・持株会社という選択肢、税理士・弁護士への相談タイミングを学ぶ

  7. 7

    経営者保証を引き継ぐということ——金融機関との対話

    先代の個人保証はどうなるのか、経営者保証に関するガイドラインの 3 要素に軽く触れつつ承継時の論点に絞る、前経営者と後継者から二重に保証を取らない考え方、経営者保証改革プログラム、事業性融資推進法と企業価値担保権が承継に与える意味、承継を金融機関にいつ伝えるか、承継後 1 年目の決算の説明の仕方を学ぶ

  8. 8

    継げないとき——従業員承継・第三者承継・廃業/支援インフラ

    親族内に後継者がいないことは珍しくない、従業員承継(EBO)の最大の壁は株式取得資金と個人保証、第三者承継(M&A)は選択肢として何を知っておけばよいか、中小 M&A ガイドラインが仲介者に求めていること、黒字廃業という選択、事業承継の支援インフラ、修了後の情報源を学ぶ

  9. ✓

    総復習テスト

    全レッスンの内容を振り返るテスト

このコースの用語集(107語)
挨拶回り
承継の事実を、取引先や金融機関に先代とともに直接訪問して伝えること。関係の深い相手から優先的に、文書だけでなく直接行うのが基本とされる。
EBO(いーびーおー)
Employee Buyoutの略。役員や幹部社員など社内の人材が、株式を買い取って経営を引き継ぐ従業員承継のこと。株式取得資金と経営者保証が最大の壁になる。
移行期
承継の期間のうち、先代と後継者がともに経営に関わり、権限を段階的に移していく段階。
遺留分
法律上、一定の相続人に最低限保障されている遺産の取り分。後継者に株式を集中させても、ほかの相続人が遺留分を主張すると、金銭での支払いを求められることがある。
お金の流れ
支払サイトや経費精算、資金繰り表などを指す言葉。変革の順序では、比較的着手しやすい領域とされる。
黄金株
拒否権付株式の俗称。株主総会や取締役会の重要な決議事項について、この株式を持つ株主の同意がなければ決議が成立しない特別な権限を持つ。